裁量ペナルティーガイドライン(支援艇・支援者)

第20回坊ちゃんカップヨット大会
裁量ペナルティーガイドライン(支援艇・支援者)

  1. 違反に対するペナルティーを決定する裁量がプロテスト委員会にある場合、その範囲は支援者・支援艇に与える場合には、警告から規則69(不正行為)に基づく処置までです。ペナルティーは、このガイドラインに沿って決定されます。
  2. プロテスト委員会は、規則64.5(b)に基づき、支援者の規則違反を理由に関係する艇にペナルティーを課すことがあります。艇に与える場合はゼロ点(ペナルティーなし)からDSQ(失格)までです。
  3. 裁量ペナルティーは、予め決められた標準ペナルティーを単純に与えるものではありません。ペナルティーは、一貫性を保ちながら、状況に応じて調整されます。共通した基本的な考え方は、違反に対して先ずペナルティーの出発点を決定し、次に状況に応じてペナルティーを増減するというものです。
  4. ペナルティー決定の出発点は、表1と表2に与えられています。表1には、規則違反に対するレベルが示されています。表2は、関係する艇にペナルティーを与えると決定した場合の規則違反に対するバンドが示されています。
  5. 支援者・支援艇にペナルティーを与える場合は、次の5つのレベルに分けられます。
      レベル1   警告
      レベル2   1レースもしくはそれ以上のレースにおいて、出艇禁止
      レベル3   1日、出艇禁止
      レベル4   1日以上、ハーバーからの排除
      レベル5   大会期間中のハーバーからの排除および規則69に基づくプロテスト委員会の権限内で行う その他の行動
  6. 関係する艇にペナルティーを与える場合は、次の4つのバンドに分けられます。
      バンド1   0~ 10%            (中点 5%)
      バンド2   10~30%              (中点20%)
      バンド3   30~70%              (中点50%)
      バンド4   DSQ
  • まず、表1と表2を用いて、どのレベルバンドに相当するかを決定します。決定したレベルバンドの中点をペナルティー決定の出発点とします。次に、レベルバンド内でのペナルティーの増減やレベルバンドの増減が必要な要素があるか否かを決定します。
  • 以下の質問に対する答えが「はい」の場合、ペナルティーは軽減されることがあります。
    • 違反は偶発的もしくは回避することができなかったか。
    • 違反せざるを得ない事情や尤もな理由があったか。
    • 支援しているチームと関係のない人が違反に寄与したか。
    • 支援者は違反を認め、調査に協力的か。
  • 以下の質問に対する答えが「はい」の場合、ペナルティーは加重されることがあります。
    • 違反は判断ミスや不注意ではなく、意図的だったか
    • 違反を隠ぺいしようとしたか。
    • 誰かに迷惑をかけたか。
    • 支援者は違反を繰り返したか。
  • プロテスト委員会は、7と8以外のことを考慮してペナルティーを増減することができます。
  • 艇にペナルティーを与えると決定した後は、以下に基づき得点が与えられます。
    • 得点は、DSQの得点より悪くはならない。
    • パーセンテージペナルティーは、小数点以下第1位を四捨五入する。
    • 違反により艇が有利を得た場合、有利を得た全てのレースにペナルティーが課される。
    • 違反により艇が有利を得ていない場合、規則64.1に定められている通り、ペナルティーはそのインシデントに時間的に最も近く帆走したレースに課される。
  • 裁量ペナルティーを適用する場合の判決文には、以下のような記述が含まれます(A かつ ( B または C ) )。
    • 「裁量ペナルティーガイドラインに基づき、出発点を●●と決定した。」
    • 「●●であったので、裁量ペナルティーガイドライン7(に基づき、ペナルティーを軽減した。」または「ペナルティーを軽減すべき事情はなかった。」
    • 「●●であったので、裁量ペナルティーガイドライン8(x)に基づき、ペナルティーを加重した。」または「ペナルティーを加重すべき事情はなかった。」

表1 規則違反と対応するレベル

NoR 11.1支援者船
 (a)登録手続きに不備があったが尤もな理由があった
尤も理由なく登録手続きに不備があった。
1-2
2-4
(b)乗艇員数を超えていたが尤もな理由があった。
乗艇員数を超えていたが尤もな理由が無かった。
繰り返した。
1-2
3-4
5
(c)一般船舶の航行を妨げた
救助要請に従わなかったが尤もな理由があった
尤もな理由なく救助要請に従わなかった
1-4
1-3
3-5
(d)加入していなかったが尤もな理由があった。
加入していなかったが尤もな理由がなかった。
指示に従わなかった。繰り返した。
1-2
2-4
5
(e)すべてのドライバーが海技免状を持っていなかったが尤もな理由があった。
すべてのドライバーが海技免状を持っていなかったが尤もな理由がなかった。
指示に従わなかった。繰り返した。
1-2
2-4
5
SIs 4.1行動規範
  レース委員会の指示に従わなかったが尤もな理由があった。
レース委員会の指示に従わなかったが尤もな理由がなかった。
指示に従わなかった。繰り返した。
1-3
2-5
4-5
SIs 18安全規定
 SIs 18.1 SIs 18.2登録手続きに不備があったが尤もな理由があった
尤もな理由なく登録手続きに不備があった
繰り返した
1-2
2-4
4-5
SIs 21支援チーム
 SIs 21.1進入したが、艇や運営船に影響を与えなかった
運営船に影響を与えた
レース中の艇に引き波の影響を与えた
違反した後に指導に従わなかった
1-2
1-2
3-5
4-5
SIs 21.2レース委員会の指示に従わなかったが尤もな理由があった。
レース委員会の指示に従わなかったが尤もな理由がなかった。
指示に従わなかった 繰り返した。
2-5
1-3
4-5
SIs 21.3NoR 11 (b)と同じ 

表2 艇へのペナルティーを決定するための一般的な質問とバンド

艇は、競技上の有利を得たか
有利を得る可能性はない
利を得る可能性がある
利を得た
1
2-3
4
プロテスト委員会が審問で、艇にペナルティーを課す場合があると書面で 警告した後、支援者が違反を繰り返したか?
いいえ
懸念はされるが、確かではない
はい
1
2-3
4
安全を損なう可能性があったか?
なかった
可能性はあったが、損なっていない
損なった
1
2-3
4
スポーツや大会の名誉を傷つける可能性が あるか
ない
懸念されるが、確かではない。
ある
1
2-3
4
損傷や傷害を引き起こす可能性があったか
ない
可能性はあったが、引き起こさなかった。
引き起こした。
1
2-3
4

2024年10月21日 プロテスト委員長 黒木 信治