第20回坊ちゃんカップヨット大会
裁量ペナルティーガイドライン(艇)
- 違反に対するペナルティーを決定する裁量がプロテスト委員会にある場合、その範囲はゼロ点(ペナルティーなし)からDSQ(失格)までです。ペナルティーは、このガイドラインに沿って決定されます。
- ただし、違反が故意あるいは悪質な場合には、プロテスト委員会は規則2(公正な帆走)に基づくペナルティー (DNE)を考慮します。
- 裁量ペナルティーは、あらかじめ決められた標準ペナルティーを単純に与えるものではありません。ペナルティーは、一貫性を保ちながら、状況に応じて調整されます。共通した基本的な考え方は、違反に対して先ずペナルティーの出発点を決定し、次に状況に応じてペナルティーを増減するというものです。
- ペナルティーの決定の出発点は、表1と表2に与えられています。表1には、具体的な規則違反に対するバンドが示されています。表2は、表1に挙げられていない規則違反に対するバンドを決める際に用いられます。表1にバンドの範囲が示されている場合には、その範囲の中でバンドを決める際にも表2が用いられます。
- ペナルティーは次の4つのバンドに分けられます。
バンド1: 0 – 10% (中点 5%)
バンド2: 10 – 30% (中点 20%)
バンド3: 30 – 70% (中点 50%)
バンド4: DSQ - まず、表1と表2を用いて、どのバンドに相当するかを決定します。決定したバンドの中点をペナルティー決定の出発点とします。次に、バンド内でのペナルティーの増減やバンドの増減が必要があるか否かを決定します。
- 以下の質問に対する答えが「はい」の場合、ペナルティーは軽減されることがあります。
- 違反は偶発的であったか。
- 違反せざるを得ない事情や尤もな理由があったか。
- 競技者や支援者は、違反を自らプロテスト委員会に申し出たか。
- その艇の乗員や支援者以外の者が、その違反に寄与したか。
- 以下の質問に対する答えが「はい」の場合、ペナルティーは加重されることがあります。
- 違反は繰り返されたか。
- 違反は、判断ミスや不注意ではなく、意図的であったか。
- 競技者や支援者は、違反を隠そうとしたか。
- 誰かに迷惑をかけたか。
- プロテスト委員会は、これら以外のことを考慮してペナルティーを増減することができます。
- ペナルティーを決定した後は、以下に基づき得点が与えられます。
- 得点は、DSQの得点より悪くはならない。
- パーセンテージペナルティーは、小数点以下第2位を四捨五入する。
- 違反が艇の性能に影響した場合、影響したすべてのレースにペナルティーが課される(ただし、有効な抗議がなされてレースに限る)。
- 違反が艇の性能に影響していない場合、規則64.1に定められている通り、ペナルティーはそのインシデントに時間的に最も近く帆走したレースに課される。
- 裁量ペナルティーを適用する場合の判決文には、以下のような記述が含まれます。
- 「裁量ペナルティーガイドラインに基づき、出発点を〇〇%と決定した。」
- 「〇〇であったので、裁量ペナルティーガイドライン□□に基づき、ペナルティーを軽減した。」または「ペナルティーを軽減すべき事情は無かった。」
- 「○○であったので、裁量ペナルティーガイドライン□□に基づき、ペナルティーを加重した。」または「ペナルティーを加重すべき事情は無かった。」
表1 規則違反と対応するバンド
NoR 7.1 SIs 20 | 装備検査 | ||
尤もな理由があった 尤もな理由がなかった 違反した後に指導に従わなかった | 1-3 4 4 | ||
NoR 11 | 支援者船 | ||
尤もな理由があった 尤もな理由がなかった 違反した後に指導に従わなかった | 1-3 4 4 | ||
SIs 3.2 | 音声やデータ通信 | ||
尤もな理由なく運営の無線を傍受した | 1-2 | ||
SIs 4.1 | 行動規範 | ||
レース委員会の指示に従わなかったが尤もな理由があった。 レース委員会の指示に従わなかったが尤もな理由がなかった。 指示に従わなかった。繰り返した。 | 1-3 2-5 4-5 | ||
SIs 5.2 | D旗掲揚前の離岸 | ||
離岸した(艇を水面に浮かべることを含む) 捜索が発動した、または、発動する可能性があった | 1-3 3-5 | ||
SIs 11.3 | スタートエリアの回避 | ||
進入したが、艇や運営船に影響を与えていない 運営船を妨害した レース中の艇を妨害した(規則23.1に違反した) 艇または運営船に損傷・傷害を引き起こした 違反した後に、指導に従わなかった | 1 2-4 4-5 4-5 4-5 | ||
SIs 18 | 安全規定 | ||
18.1 18.2 | 出艇帰着申告の不備、遅れ 捜索が発動した、または、発動する可能性があった | [SP] 3 | |
SIs 19 | 装備の交換 | ||
事前承認なく交換したが、最初の妥当な機会に交換要請し、その後承認が得られた 最初の妥当な機会に交換要請したが、交換し使用した後、結果的に承認が得られなかった 最初の妥当な機会に交換要請せずに交換して使用した | 1 3 4 | ||
SIs 21 | 支援チーム | ||
21.1 | SIs11.3に従う | ||
21.3 | NoR11に従う |
表2 ペナルティーを決定するための一般的な質問
危険を及ぼす可能性があったか? | |
及ぼさなかった。可能性もなかった。 及ぼす可能性はあったが、及ぼさなかった、また及ぼしたか否か明らかではない。 及ぼした。 | 1 2-3 4 |
艇は、競技上の有利を得なかったことを証明できたか? | |
有利を得る可能性もなかった。 有利を得る可能性はあったが、得なかった、又は得たか否か明らかではない。 有利を得た。 | 1 2-3 4 |
スポーツや大会の名誉を傷つける可能性があるか? | |
無い。 懸念されるが、確かではない。 ある。(プロテスト委員会は、規則69に基づく審問召集を検討する。) | 1 2-3 4 |
損傷や障害を引き起こす可能性があったか? | |
無かった。 可能性はあったが、引き起こさなかった。 引き起こした。 | 1 2-3 4 |
2024年10月21日 プロテスト委員長 黒木 信治